2006年04月13日

ツンデレに付きまとわれた大学侵入者はてなブックマークに追加はてなアンテナに登録はてなRSSに追加

1 名前:1:2006/04/12(水) 01:17:45.93 ID:h6+qE30C0
実話を小説風に書いてみるw



7 名前:1:2006/04/12(水) 01:30:11.32 ID:h6+qE30C0
ちょうど去年の今頃、俺は大学に落ちた。
サクラ舞い散る3月、合格発表の掲示板の前で喜んでいる友人たちの中、
俺一人だけ沈んでいた。
皆、俺に気を使って、声をかけてくれたが、空気を読んで先に帰ることにした。
誰一人とめるものはいなかった。
いざとなれば、友達なんて淡白なものだ。
私立も受けてなかったから、浪人は決定済みみたいなもの。
帰ったら、河合塾に申し込まないといけない。

憂鬱な気分で地下鉄に乗り込み、窓の外を眺めていると、
隣の席の女の子が声をかけてきた。

女の子「もしかして、○○大学受けました?」
俺「うん」
女の子「よかったー。たぶん試験会場一緒だったと思うんですけど、
     あ、でもこんなこといきなり言ってもアレですよねww」

女の子はかなり浮かれている様子だった。
もちろん受かったのだろう。
この合格発表前に染めたのか、髪の毛は茶色で、
もう気持ちは大学に向いている。
とてもじゃないが、相手をしてやれる精神状態じゃない。

 

9 名前:1:2006/04/12(水) 01:37:29.81 ID:h6+qE30C0
女の子「教科書販売っていつからなんですかねぇ?」
なおも女の子は楽しそうに聞いてくる。
俺「さあ、たしか3月25日じゃなかったっけ?」

俺だって受かるつもりでいたのだ。
合格後の日程も一応目を通していた。
今となっては無意味だが・・・。

女の子「そっか〜。じゃあ、もし良かったら
     教科書販売に付いて行っていいですか?」

これから学友になると勘違いしている女の子は、
積極的に俺にモーションをかけてきた。
恋愛沙汰ではなく、見知らぬ土地で一刻も早く知り合いを作りたいんだろう。
女の子の目は、俺が合格していることを信じて疑わないようだった。

そこで、俺はつい嘘をついてしまった。
今思えば、この嘘からすべてが始まったように思える。

――― 一緒に教科書買いに行こうか?

その後、地下鉄を降りるまでに俺はその子とメアドを交換した。



15 名前:1:2006/04/12(水) 01:49:32.00 ID:h6+qE30C0
4月になって精神的なダメージから立ち直り、俺は河合塾に通うことになった。
来年は絶対受かるぞ、と気合を入れて、浪人生活を送ろうと決心した。
その頃には、前に地下鉄でしたメール交換のことなど
すっかり忘れていたのだが、4月12日ごろに来たメールで、
一気にそのことを思い出したのだった。

「久しぶり〜。何組だった?私は12組だよ。」

風呂上りに携帯を見たら、見知らぬ名前から、メールが来て一瞬ビビッタが、
しばらくして完全に思い出すと、教科書販売に行かなかった罪悪感と同時に
嘘をついたことへの後悔の念が涌いてきた。

「そっかー。俺教科書販売にはいけなかった、ごめん」

五分後に返事が来た。

「気にしないで。それよりサークルどうする?」

考えて・・・
それでも、不合格だったとはいえなかった。

「サークルには入らないと思う」

「まだ、決まってないの?決まってなかったら、一緒にバドミントンしない?」

バドミントンなら浪人のいい気分転換になるかもしれない。
それで、つい・・・

「じゃあ、バドミントン部に入ろうかな?」

と送ってしまった。



20 名前:1:2006/04/12(水) 01:57:24.84 ID:h6+qE30C0
送っただけならまだいい。
大胆不敵にも、次の日の午後、俺は大学のキャンパスにいた。

女の子「おう、ひさしぶりw」
俺「おう」

女の子は、大学に入ってさらにきれいになったようだった。
白いフリルのワンピースに、青いジージャン、黒いブーツは、
女の子の長い髪に良く似合う。

俺「なんかおしゃれになった?」
女の子「ほんとー。ありがと〜。」

女の子の屈託のない笑みに、すこしドキッとしたが、すぐに気を取り直して、
俺ら二人はバトミントン部の練習している体育館へと向かった。

体育館では、主将が新入生あいてに、部の説明をしているところだった。
赤い短パン、半そでの主将が、ラケットを片手に持って、
スマッシュのフォームを見せていた。

女の子「なんか楽しそうだね」
俺「うん・・・」

チキンな俺は自分が大学生でないことがばれないか不安でしょうがなかった。



26 名前:1:2006/04/12(水) 02:04:44.33 ID:h6+qE30C0
説明が一段落して、主将が俺たちの方へ近づいてきた。

主将「君たち、新入生?」
主将が笑顔で聞いてくる。

女の子「はい、私たち、
     バトミントン部に入ろうかな、と思ってるんですけど・・・」

女の子も笑顔で答えた。
この場で顔面蒼白なのは、俺だけだ。
頭の中は、部活に来たことへの後悔の念でいっぱいだった。

主将はなおも続けた。
主将「君たち、何学部なの?」
女の子「二人とも理学部です」

受験会場は学部ごとになってるから女の子がそう推測したのもわかる。
主将「そっかー。これから勉強大変だけど頑張ってね。
    とりあえず、今日はラケット貸すからシャトル打っててよ。」

主将が指示すると、部員らしい背の高い男がラケットを二個持ってきてくれた。
主将「あのコートに入って・・・えーと、君はこっち」

俺たちは二人別々のコートで打たされることになった。



30 名前:1:2006/04/12(水) 02:12:11.09 ID:h6+qE30C0
俺「よ、よろしくお願いします。」

俺の相手は背の低い140cmくらいの女の子だった。
はっきり言って見た目相手にとって不足だ。
こう見えても高校の選択体育はバドミントンだったんだから・・・。

新入生のくせに早くも髪の毛を染めて、派手な金髪。
目つきも悪い。
この分だと、タバコも酒も男もたしなんでそうだ。

ちび「早く打ってよ」
俺「ああ・・ごめん」

最初は軽くサーブした。
相手も軽く返してくる。

ちび「もっと強く打っていいわよ」

ちびが余裕の表情を見せた。



31 名前:1:2006/04/12(水) 02:12:41.75 ID:h6+qE30C0
もともと、ちびの金髪に、反感らしき感情を抱いていた俺はここぞとばかりに
渾身の一撃を食らわす。

バトミントン選択なめんじゅあねえええええ!!!!!

・・・が、

ちび「おそいっ!」
あっさりと返されてしまった。
どうやら意外とてだれのようだ。



34 名前:1:2006/04/12(水) 02:24:39.02 ID:h6+qE30C0
その日のレクは終わって、主将がシャトルを打っていた奴らをみんな集めた。
体育すわりになって主将の話を聞く。
話の概要は、バドミントン部はいいところだから入りましょうって事だった。

さっきの打ちっぱなし、俺はちびの手のひらで踊っているだけだった。
だって、俺はスマッシュを打つのに、相手はスマッシュを打たないんだから。

隣に体育すわりしているちびに話しかける。

俺「バトミントンうまいね?部活やってたの?」
ちび「中学のときね」

ちびは前を見たまま答えた。
そこで話は途切れた。

俺「ここ入る?」
ちび「入るよ。あんたも入れば?」

熱い試合をした後とは言え、初対面の俺にあんた、なんていうちびに
少々むっと来て俺は黙った。



35 名前:1:2006/04/12(水) 02:25:06.27 ID:h6+qE30C0
まわりを見ると皆それぞれ、今日の打ちっぱなしについて語り合っている。
ここで友達を作るつもりなんだろう。

ちび「彼女と一緒に部活選び?」
ちびが話しかけてきた。
その顔はにこりともしていない。
俺「ああ、まあ、そんな感じだよ」
ちびが少し考えてから言った。
ちび「あんた、あんまり運動に向いてないわよ。
   ここより、いいところあるんじゃない?」

その物言いにさすがの俺もムカッと来た。
俺が後ろめたい身でなければ、絶対に怒っているところだ。
だが、ここでバレたら一巻の終わりなので、なるべく事を荒立てないように、
答えず前を向いた。
もう話しかけてきてもシカトしようと心に決めていた。



38 名前:1:2006/04/12(水) 02:32:34.61 ID:h6+qE30C0
ちび「まあ、入るっていうなら歓迎するけど」
もう部長きどりか。
なんつー偉そうな奴なんだ。思い出しても腹が立つ。
まあ、これで、このちびとも会うことはなかろう。
俺は適当な返事をして、女の子の方を振り向いた。
女の子は、さっきパートナーになった男子と楽しそうに話していた。

俺「あ、お話中悪いけど、そろそろ帰る?」
文句を言いたそうな女の子に代わって、誠実そうなその男子が答えた。
男子「俺、次の部活みたいから、また今度ね」
男子は早々に立ち去った。

帰り道、地下鉄の中で女の子が言った。
女の子「私、バトミントン部にしたよ」
女の子がうれしそうに言ってくる。
あの男子の影響があることはまず間違いない。
俺「そっかー」
女の子「バトミントン部にしちゃえば?」

女の子が聞いてくる。
まあ、俺とこの大学とのつながりは女の子を介してしかないわけで、
選択の余地はない。
俺「じゃあ、バトミントン部にしようかな?」
女の子「そうしなよー」

あのちびとは関わらなければいい話で、ここで、どこの部活にも入らないのは、
勇気を出した割にはもったいない気がしたのだ。

 

42 名前:1:2006/04/12(水) 02:39:06.54 ID:h6+qE30C0
・・というわけで、俺の二重生活がスタートした。
河合塾に行ったその足で、バトミントン部に向かう。
親には、気分転換に友達とスポーツしてる、と言ってある。
真実を知ったら、どう思うだろう。
俺が不憫と思って認めてくれるだろうか、それとも、大学に入ってから
やりなさい、と怒るだろうか?

そんな感じで、2週間もたつと俺を含めたバドミントン部新入生8人
徐々に仲良くなって、練習にも身が入り、めきめきと上達していった。
俺は、今まで、適当に打っていた分、フォームがめちゃくちゃだったが、
ちびと先輩の指導でなんとか形になった。

そんな中、5月3日、初の対外試合があった。



45 名前:1:2006/04/12(水) 02:48:26.91 ID:h6+qE30C0
5月3日はGWだが、河合塾ではなぜか通常授業の日程にあたる。
講師いわく、時期的にだれやすいからだそうだ。
理由は何であれ欠席予定の俺には関係ない。
その日は、部の皆と、試合会場の体育館にいた。

「新人戦」と掲げられていることもあって、2年以降の姿はほとんどない。
公式試合でもないただの交流試合なので、さほど重要でもないのだろう。

とりあえず、ダブルスを組まされると言うことで、
主将の提案で俺はちびと組まされることになった。
理由は俺が一番下手で、ちびが一番うまいからだそうだ。
主将が「経験がまだ浅い分柔軟になんちゃら」とか言っていたが、
要約するとトップとびりで組まされたのだ。
そんな感じで他のメンバーも勝手に組まされた。
俺としては、あの女の子があの男子と組まされてないことが救いだった。

初めての試合。
俺の体は意外とスムーズにシャトルについて行った。
バトミントンをやった今ならわかるがきっとちびのシャトル裁きがうまかったから、
相手も俺たちに打ちやすい位置に返すしかなかったんだろう。

初試合は黒星だった。
試合が終わって、ちびが「がんばったじゃん」と声をかけてきた。
いつもはえらそうに感じるその声がなぜかその時はうれしかった。



48 名前:1:2006/04/12(水) 03:02:00.89 ID:h6+qE30C0
破局はいつ訪れるかわからない。
俺の場合は、梅雨の時期まで訪れなかった。

その頃までに俺はちびに頻繁にメールするようになっていた。
付き合っているわけではないが、
一日往復20通はしていたのではないだろうか?
話題は、本当にどうでもいいことで、ペットの犬の話題も出たような気がするが、
いつも何を書いていたかは忘れた。
が、ちびのメールはいつもたんぱくで、
ひどいときには「うん」とか「そう」しか帰ってこなかった。
顔文字もないから、他人が見たら何だと思うだろう。
あのときの女の子は予想に反して、自クラスの男子と付き合うことになった。
そこら辺、あの誠実な男子との絡みがあるのだが、
特定されたら困るので詳細は避ける。
バドミントン部、一年の面々は、
・俺
・ちび
・あの女の子
・メガネのひょろ男
・坊主
・メガネの女子
・誠実な男子
の7人になっていた。

破局は、誠実な男子の言葉から始まった。



52 名前:1:2006/04/12(水) 03:11:46.75 ID:h6+qE30C0
誠実な男子のクラスメイトに偶然俺の高校のときの友達がいたのだ。
誠実な男子はなんかのきっかけで俺のことを話したらしい。
いままで、意図的に高校の話題を避けてきた俺は、
久々の高校の同級生からのメールを見て愕然とした。

「久しぶり。後期で受かったんなら言ってくれよ。
気遣っていままでメールできなかった。」

要約するとこんな感じだ。
落ちてから全く連絡もなかった。
まあ、気を使ったのと、浪人に声かけたくないのと、半分半分なんだろう。

だが、高校の友人にたいしてもはや嘘をつくことはできなかった。
俺はすぐに電話をかけ直して、そいつに相談した。
今までのこと、それから、これからなるべくなら部活を続けたいと言うこと。

きっと味方になってくれると思って打ち明けたのに反応は予想外だった。

「お前、それはまずいよ・・・」

彼曰く、このまま部にい続けることは、皆を騙していることになるし、
来年新入生として入学したときにいずれバレルから、
今のうちに手を打っといたほうが良いと言うことだった。
つまり、バドミントン部をやめろ、ということだ。

まずい相手に打ち明けてしまったなあ、と思ったがもう遅い。
彼の意思に反した行動をとって、皆に打ち明けられでもしたら、一巻の終わりだし、
バドミントン部を止めるにしても一巻の終わりだ。
一度話してしまったからバッくれることもできない。

説得を試みたが、彼は聴く耳を持ってくれなかった。
彼にしては、落ちた俺がのうのうと大学生に混じっているのが
許せなかったんだろう。



54 名前:1:2006/04/12(水) 03:18:19.53 ID:h6+qE30C0
元々無理があったのだ。
俺は自分の気持ちに区切りをつけて、バドミントン部を止めようと決意した。
自分の中で、受験勉強に集中するため、という理由を丁稚あげて・・・。
だが、同時に、バドミントンをすることが、
受験勉強のいい気分転換になっていることも心の奥底ではわかっていた。

 

56 名前:1:2006/04/12(水) 03:31:43.54 ID:h6+qE30C0
打ち明けようと決めた日、その日もいつものように練習があった。
コレで最後かと思うと気も重い。
練習が終わって反省会が始まった。
本当は一年生だけにカミングアウトしたかったのだが、時間がなくて、
先輩も2,3人いる中、カミングアウトすることにした。

どういう反応をされるか本当に怖かった。

今はこうやって、バカやって笑いあっている仲間がカミングアウトの瞬間、
氷のような目で俺を見てくる事だってありえるのだ。
いや、きっとそうだろう。
そんなことになって耐えられる自信はない。
だが、言わないといずれ、高校の同級生からばらされることになる。
一時は、彼がいなくなればいい、と本気で思ったが、結局因果応報なのだ。
あきらめるしかない。

ミーティングが終わって、解散ムードになったとき俺が手を挙げて発言した。

俺「主将!」
主将がいつもの顔でこちらを向く。
主将「なんだ?」
勢いに任せて言う。

俺「俺、浪人生なんで、今日でこの部活止めます。」



57 名前:1:2006/04/12(水) 03:32:06.29 ID:h6+qE30C0
・・・。
言った。
皆の顔を見る。
女の子は聞いていたが冗談だろ、と言う顔でニヤニヤしている。
聞いてないやつも3人ほどいた。
ちびは、ドリンクを飲みながら、硬めでこちらを見ていた。
「え?ほんと?」
主将が間抜けな顔で俺に聞いてくる。
「はい。俺学籍ありませんよ。」
足ががくがくして、一瞬でぶわっと背中に汗をかいた。
自分の意思に反して、目に涙がたまってくる。
「まじか〜。」
主将が困った顔で、いいとも悪いともいわず固まった。
他のみんなも手を止めて、
平和なミーティングの終わりが一瞬で修羅場と化したことにびびっていた。



60 名前:1:2006/04/12(水) 03:39:06.97 ID:h6+qE30C0
その時、ちびが言った。
「うち、インカレだからいいんじゃないですか?
マネージャーだって、他校じゃないですか。」

そのセリフが、全体の流れを決した。
女の子「そうだよね。別にいいよね?」
誠実な男子「黙ってたのは、ちょっとね・・・」
ちび「別にたいした問題じゃないわ。」

俺は、自分が裁かれる様子を、固唾を呑んで見守っていた。
ちびや坊主は擁護派だが、
あの女の子と誠実な男子は、ちょっと・・・と言う雰囲気だった。
俺はその間なにもしゃべらず判決を待つ罪人の気分だった。
そのうち正気に返った主将が、
「でも、一応、同じ学校じゃないとルール違反になる大会もあるしな。」
と言ったせいで反対派が勢いづいた。
俺は、大会「も」、あるんなら、俺はその大会に出なければいいじゃん、と
よほど言いたかったが、いまだに沈黙を貫いていた。
こうして、永遠とも思われる時間が過ぎていった。
耐え切れなくなって、俺は、
「今までお世話になりました。」と部屋を出た。
結局、俺の性根はチキンだったのだ。
ちびにあわせる顔がない。



70 名前:1:2006/04/12(水) 03:59:28.30 ID:h6+qE30C0
とりあえず一刻も早くその場から去りたくて、俺は早歩きで部室棟を後にした。
外に出てからは門まで走った。
門に着いた時、ちびが追ってきてくれてるかとも思ったが、
俺の後ろには誰もいなかった。
考えてみれば、それはそうだった。
俺は寂しくなったが、すっかり安心し、近くのコンビニに入った。
コンビニに入ると、さっきまでの出来事が
今までの自分と全く関係ないことのように思えてきた。
それで、まだ読んでいなかったジャンプの立ち読みを始めた。

3作目を読もうか、と思ったとき、後ろから誰かに思いっきり背中を殴られた。
かなり痛い。
思わず、つんのめって、目の前にある雑誌ラックに突っ込む。
キャスターつきの白い雑誌ラックは倒れ、
未成年立ち読み禁止の本が床に散った。

隣で立ち読みしていた、帽子の兄ちゃんはこちらを見たまま固まり、
隣のおっさんは何事もなかったかのように、一歩隣に移動した。

俺の後ろにはやっぱり、ちびがいた。
ちびは泣いてくれていた。
大学生だから子供のようにってわけにはいかないが、
充血した目から涙があふれていた。
「あんた、なんで・・」
怒りか悲しみか声が震えていた。
俺は小さい頃に、
川でおぼれて助けられた後の親の声が震えていたことを思い出した。

 

72 名前:1:2006/04/12(水) 04:00:04.72 ID:h6+qE30C0
「あんた、なんで・・」
なんでの後、何か言っているようだが全く聞き取れない。
とりあえず、俺は周りの眼が気になって、
「外で話そう。」
とちびを説得しようとした。
肩をつかんだ手をちびが勢い良く払いのけ、その目はじっと俺を睨んでいた。

”怖い”

俺は、ここしばらくの中で、ひさびさに恐怖を体験した。
ちびの目は怖かった。
殺されるかと思った。

コンビニの中は静まり返り、俺は頭の隅で立ち読みの二人が
帰るに帰れなくなっている事を気の毒に思っていた。

続いて、ピンポーン、と客を告げるチャイムがなって、
バドミントンの一年の面々+主将が現れた。
状況を見るなり主将は、ちびに後ろから抱き付いて、俺から引き離そうとした。

身長175の男が140くらいの女に睨まれて動けない状況って
本当にあるんだな、と思った。
周りから見ても、ちびが俺を圧倒していることは明白だった。

腕力の問題じゃない。
ちびの心は、このことに対して強かったのだった。



77 名前:1:2006/04/12(水) 04:06:24.34 ID:h6+qE30C0
ちびは主将に抱きつかれるなり、
「離してください。もう平気ですから。」
と言って、主将の手を引き剥がし、ぷいっ、とドアのほうへ向き直った。
主将は、俺に対して
「今日はもういいから。とりあえず今回の件は保留しておく。
もし良かったら明日からもいつもどおり来てくれ。」

と言って、部員と共に去った。
帰り際に、あの女の子が
いままで見たことがない様な目で俺を見たことを悲しく思いながら、
倒れたラックの雑誌を集めた。
事の顛末を見守っていた店員が、気の毒に思ったのか、
「お客様、いいですから。」と後片付けを代わってくれたので、俺は外に出た。
外は小雨が降っていた。

 

79 名前:1:2006/04/12(水) 04:10:22.89 ID:h6+qE30C0
家に帰ってからも今日のことが気になって、ちびにメールを送った。

「今日のことごめん。あと、擁護してくれてありがとう。うれしかった。」

一通送って、携帯電話の前で30分ぼおっと過ごしたがとうとう返事は来なかった。
二通目。

「お前のこと好きだったよ。合格したら付き合って。」

・・・送る訳ない。
書いた文を消して、そのまま携帯電話のふたを閉じた。

その後、いつもどおり風呂に入って、明日の予習をして寝た。
その日はとうとうちびからメールが来なかった・・・。



84 名前:1:2006/04/12(水) 04:15:36.29 ID:h6+qE30C0
次の日、なんとなく顔が出しにくくて、俺はバドミントン部を休んだ。
その次の日も、休んだ。
その次の日も・・・。
そうして、いつしかテストなどで忙しくなり、俺はバドミントン部に行かなくなった。
バドミントンのことより目の前の模試の結果に一喜一憂して、
日々を過ごしていた。
河合塾で友達もでき、受験のことを語り合うのも楽しかった。
あいつのことは・・ちびのことは、思い出すことがあっても、
メールする勇気はなかった。
もちろん月に一度は近況報告を10行程度送ったが、
返事が来ることはなかった。
そうして、いつの間にか秋も深まり10月になっていた。



90 名前:1:2006/04/12(水) 04:27:47.79 ID:h6+qE30C0
その日はいつもどおり塾に行き、帰り道コンビニに寄った。
避けていたあの曰くつきのコンビニだ。
テストの成績も良かったこともあり、
上機嫌だった俺はジャンプの立ち読みに行ったのだった。
と、そこに見慣れた金髪がいた。
髪を伸ばしてストレートにしているが、ちびだった。
珍しく立ち読みをしている。
肩にはラケット、きっと今日の練習は早めに切り上げたのだ。
声をかけようかなんて迷わなかった。
俺「久しぶり。」
ちび「ああ。久しぶり。」

ちびは、にこっと笑った。
一瞬覚悟したのだが、ちびの反応は恐れていたものと違ってたんぱくだった。
俺「最近何してるの?」
ちび「部活三昧だよw そっちは?」
俺「勉強三昧w」

ちびは、えらいじゃん、と言って雑誌をその場に置いた。
ちび「またねw」
笑顔でちびが振り返る。
俺「何か用事?」
ちび「これからデートなんだ。」

そういい残すと、ちびはコンビニから去って、あっという間に見えなくなった。
そういえば、服も前よりずっとおしゃれだし、かわいくなった気がした。



94 名前:1:2006/04/12(水) 04:32:58.37 ID:h6+qE30C0
家路を歩くときも、ずっとちびのことを考えていた。
家についてからも、ちびとそのデート相手のことを考える。
しばらくして、俺がいつの間にかちびのことを好きになっていることに気が付いた。
だが、もう遅い。
ちびには彼氏がいるのだ。
携帯で当たり障りのないメールを送ろうとしたが、deamonが帰ってきた。
おそらくいつの間にかアドレスを変えたのだろう。
俺は猛烈に後悔した。
ちびに告白するんだったら、背中をどつかれたあのタイミングだったのだ。
その日から何週間も俺は、あの時、ちびに告白していたら、
いや、抱きついていたら、という妄想に苦しんだ。
だが、いくら考えてももう時間は戻ってこない。
何度あきらめようとしても、
そのたびちびのことを思い出して苦しむ精神状態の中、
浪人生活最後の全国模試の日取りは着々と近づいてきていた。



100 名前:1:2006/04/12(水) 04:40:24.05 ID:h6+qE30C0
全国模試の最中もちびのことを考えていた。
最近は、ちびの絵を良く紙の端に書く。
完璧な妄想家だった。
最後の模試だから、と、友達も皆気合を入れる中、俺だけが上の空だった。
自分でももうどうしようもないな、と思う。
だが、現実問題、自分でも抗えない力で俺の思考は抑圧されているのだった。
目下最大の課題は受かることのはずなのに、一番の関心事は、
ちびがまだバージンか否かだった。
知ったところでどうしようもないが、頭が勝手に考えを進めていく。
模試の結果は成績表が来る前からわかりきっていた。
このままだと、チューター(学習アドバイザー、担任)に、
他大の受験を進められてしまう。

 

106 名前:1:2006/04/12(水) 04:47:49.83 ID:h6+qE30C0
成績表が来るまでの12月。
皆受験期最後の時を静かに過ごしていた。
この時期になると、チューターも何も言わない。
ある意味、受験時代の中で一番充実しているとも言える。
粉雪が降るなか、俺はいつものように冬期講習に通い、
自分の準備を進めていた。
きっとバドミントン部には入らないだろうが、
来年にはもう一度あの門をくぐりたいと思って・・・。
ちびへの気持ちも落ち着いて、この頃になると、
前のように思考を抑圧したりしなくなった。
きっと、真面目な雰囲気の周りに触発されたのだろう。
いい兆候だった。
そうして、いつもの帰り道、冬期講習の後の自習ですっかり遅くなって、
夜10時くらいだろうか?
駅までの通り道に、向こうから見覚えのある人影が見えた。
ちびとその彼氏だった。



続き
http://guideline.livedoor.biz/archives/50431204.html


guideline at 19:53 │Comments(20)読み物  | 読み物編集

この記事へのコメント

※1. Posted by 'A`    2006年04月13日 23:29
痛痒い

※2. Posted by 2    2006年04月14日 00:28
なーすびー

※3. Posted by 773    2006年04月15日 00:55
これなんてエロゲ?w
9-15の間に脳内でOPが流れた俺ヤバス

※4. Posted by あ    2006年04月15日 02:24
もし漫画化するならあだち充でよろしくw

※5. Posted by メシ代踏み倒し魔    2006年04月15日 13:07
やばい、泣きそうになった。
現実でもこんなことあるんだな、と人生の儚さを確認したわしがいた。

※6. Posted by あ    2006年04月15日 18:49
puありえん
100%クラス聞かれる

※7. Posted by a    2006年04月15日 20:19
>>6
カワイソス

※8. Posted by 名無し    2006年05月10日 15:16
3
京大かよ

※9. Posted by Piscina Abruzzo    2006年06月05日 06:56
5
Thats correct.

※10. Posted by Billig Flug Koeln Muenchen    2006年06月19日 19:27
5
I was very dissapointed of this!

※11. Posted by ペンダゴンスペシャル    2006年07月05日 14:38
釣りχなぁ…

※12. Posted by Two One Women Spa Vacation    2006年07月15日 21:35
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Just thought I'd make a note about a problem :)

※13. Posted by Valerie Fremont    2006年07月16日 14:41
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I think it would be usefull for other users also...

※14. Posted by Argent Tag Jewelry    2006年07月18日 12:12
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Very nice write up!

※15. Posted by Outdoor Hound Bed    2006年07月20日 12:07
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i am not sure as to why :(

※16. Posted by Rivotril To Relax    2006年07月21日 13:56
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I was very dissapointed of this :)

※17. Posted by Older Home Care    2006年08月04日 01:41
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I'm working.

※18. Posted by Australia Invert Mortgage    2006年08月07日 05:33
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But I'm not sure why.

※19. Posted by Heaven Poker Code    2006年08月07日 13:28
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Good idea :(

※20. Posted by 32 Bit Internet Fax    2006年08月11日 14:28
5
Just thought I'd make a note about a problem...

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